top of page

第2回 薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰
薬剤耐性対策推進国民啓発会議議長賞 受賞

秋田県感染対策協議会の取り組み「地域包括ケア時代の薬剤耐性対策基盤の形成と35年間の活動」が、第2回薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰を受けました。
 

AMR臨床レファレンスセンターHPで活動について紹介されています。

背景と表彰の概要
 

特定の種類の抗菌薬が効きにくくなる、または効かなくなることを、「薬剤耐性(AMR)」と言います。このような薬剤耐性の病原体が増えると、これまでは、発症しても適切に治療すれば軽症で回復できた感染症が、治療が難しくなって重症化しやすくなり、さらには死亡に至る可能性が高まります。このまま対策をとらないと2050年には薬剤耐性による疾患が最も多い死因になるという試算もあります。

 

そこで、平成28年4月、総理大臣が主宰する「国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議」において、薬剤耐性(AMR)による感染症のまん延の防止等の対策をまとめた「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」が決定されました。

全国的な普及啓発活動を推進するため、内閣官房により「薬剤耐性(AMR)対策推進国民啓発会議」(議長:毛利衛日本科学未来館館長)が設置され、年に1回、優良事例の表彰が行われています。本年は全国96件の中から、「秋田県感染対策協議会」が最も栄誉ある薬剤耐性対策推進国民啓発会議議長賞を受賞しました。

去る2018年11月5日、日本科学未来館においてタレントのJOYさん、篠田麻里子さんらを迎えて表彰式・トークイベントが行われ(詳細は内閣官房 国際感染症対策調整室HP掲載)、秋田県感染対策協議会から会長の廣川誠(秋田大学)、前会長の菅原厚(中通病院)が出席し、毛利衛議長から表彰状と盾を頂きました。

秋田県感染対策協議会の経緯と活動内容
 

1980年ころ、社会的に耐性菌の出現と院内感染が大きな問題となり、秋田県の医療現場での対策にも大きな変化がみられていました。県内の医療関係者は、これらの問題に対応するため、○医療施設の協力体制を構築し、消毒・滅菌・医材に関する知識の習得と技術を向上させること、○院内感染防止対策を科学的に探究すること、等を目的に、1983年に「秋田県滅菌研究会」を発足させました。その後、取り組む内容がより広範に及ぶこと、さらに情報を共有し、地域との連携・協力を強化する必要性が認識され、会の名称は「秋田県感染対策協議会」と変更され、現在に至っています。

 

以来、現在まで35年間にわたって、県内の医療・介護分野を含む多職種の連携によって感染対策活動が継続されています。病院だけでなく介護施設等も参加し、地域のネットワークを形成しています。協議会では、薬剤耐性の対策をはじめとした医療従事者への研修・実習の提供を行い、年に2回開催される研修会には毎回100〜200名が参加しています。また、市民に対して教育・啓発活動を行うほか、50万件を超える大規模な細菌の耐性化データベース(Akita-ReNICS)を構築し、その活用も行うなど幅広い活動を行ってきました。

 

今後に向けて
 

感染症への対策は医師や医療施設だけの問題ではありません。早くから多職種で連携の重要性を認識し,綿々と活動を継続してきた県内の医療従事者の取り組みが、全国的にも優れた取り組みとして評価されました。さらに薬剤耐性菌増加の問題は、一般市民が「かぜに抗菌薬は効かないことを知る」「処方された抗菌薬を指示通り服用する」などの理解が欠かせません。市民の感染対策への理解がさらにすすみ、表彰状の文面にあるように、「持続可能な社会づくり」につながることが期待されます。

bottom of page